感想。久石譲 パリ コンサート JOE HISAISHI SYMPHONIC CONCERT 2017
2017年6月に行われた久石譲のスタジオジブリ公式コンサートの世界初演が、9月6日BSプレミアムで放送された。
番組名は久石譲 in パリ「風の谷のナウシカ」から「風立ちぬ」まで宮崎駿監督作品演奏会。
名題通り、公演場所はパリ。映画の映像を交えた演奏がとても素晴らしい。
CMで偶然放送を知ったのは僥倖としか言えない。
風の谷のナウシカから風立ちぬまでの10作品、さまざまな映画の音楽が、オーケストラや合唱と共に奏でられる。
もともとジブリ作品が好きで、その中で演奏される久石譲さんの曲も大好きだったのでとても嬉しい試みだ。サウンドトラックもハウルの動く城までだが定期的に聞いている。
コンサートは風の谷のナウシカから始まり、映画ごとに様々な曲が披露される。
サウンドトラックとは違うアレンジも多分に含まれ、久石譲さん自らピアノソロを演奏する曲も少なくない。すべて、コンサートに相応しく新しく完成された音楽になっていた。
オーケストラはもちろんだが、合唱もとても綺麗にはまっていた。
映画ごとに印象的な部分の感想を書いていきたいと思う。
音楽は好きだが、それに相応しい耳や知識はないので間違っていたら申し訳ない。
語彙力がなく同じようなことばかり書いている気がするがご容赦を…
風の谷のナウシカ
風の伝説
栄えある1曲目は「風の伝説」。
オーケストラの前奏から始まり、久石譲さんのピアノソロ。そこに再びオーケストラが加わっていく。オープニングに相応しくすぐさま引き込まれた。
ナウシカ・レクイエム
「ナウシカ・レクイエム」は混声合唱のラムルー合唱団による荘厳な歌声とともに。とても感動的な曲に生まれ変わっていた。
有名なラン、ランララ、ラララン♪というフレーズまで演奏しないのかーと思っていると次の曲。「遠い日々」で女性のソロが入った(麻衣さん)。
遠い日々
この曲はインスト曲だったと思ったが、これまたコンサート仕様のようだ。ソロに加わり、少女たちによるラ・メトリーズ・デ・オー・ドゥ・セーヌという先ほどとは違う女声合唱団も歌声を披露。この曲の幻想的な雰囲気がよく表現されている。
鳥の人
そしてナウシカで私が一番好きな曲、「鳥の人」。とても感動的な曲で、聞くたびに感極まる。これを聞けただけでも満足してしまいそうになったが、まだ序盤。コンサートはまだまだ続いていくのだ。
もののけ姫
ジブリの中で一番好きといっても良い映画である。
アシタカせっ記
そしてこの映画で一番好きな曲、「アシタカせっ記」。映画のオープニングで流れている曲である。
幻想的で少し物悲しい、そしてとても感動的にこれから始まる物語を演出する。素晴らしい曲だ。
タタリ神
次の「タタリ神」ではオーケストラの中に和太鼓とお囃子なんかでよく使われる摺り鉦が混ざっており、少し驚いた。なるほど確かにこの曲では欠かせない。
もののけ姫
原曲ではカウンターテナーが歌っていた「もののけ姫」。今回は女性がソロを務めた(エレーヌ・ブレナルディーさん)。
原曲とはまた違った印象の澄んだ歌声が素晴らしく、オーケストラと合わさってとても美しい曲になっていた。(もちろん原曲も素晴らしい)
魔女の宅急便
優しい穏やかな曲が多い作品。
海の見える街
ストリングスの綺麗なピッチカート(指で弦をはじく奏法)で始まる。その後のフルートとオーボエの掛け合いがとても美しい。そこからだんだん盛り上がっていく様はとても楽しい気分になる。
かあさんのホウキ
ヴァイオリンのソロがとても繊細で美しかった。
途中、ゆったりしたメロディから一変、すこしテンポのいい旋律をソロが奏でるのがなんとも言えないカッコよさがある。そこから盛り上がりオーケストラへ繋いでいくのがとても小気味良い。
風立ちぬ
実はまだ見れていない作品である。
ネタバレ防止で映画映像を見ないようにするのが大変だったが、知らない作品でも十二分に楽しめる素敵な曲ばかりであった。郷愁を感じさせる曲が多い印象。
崖の上のポニョ
海のおかあさん
もののけ姫も歌ったエレーヌ・ブレナルディーさんがソロを歌う。
もののけ姫でも思ったことだが、外国の方とは思えないほど日本語がすんなりと耳に入ってくる。こちらもとても美しい歌声であった。
崖の上のポニョ
主題歌である「崖の上のポニョ」は、フランス語の合唱とともに披露された。
原曲の幼く可愛らしい雰囲気から一変、可愛らしさを残しつつ壮大さを併せ持った楽しい曲となっていた。指揮をする久石譲さんが楽しそうなのが印象に残っている。
合唱がメインを歌うのはいわゆるサビの部分で、他の旋律は様々な楽器が特色たっぷりに奏でていた。
ポーニョポニョポニョ mignon petit poisson ♪ (可愛い魚という意味らしい)
天空の城ラピュタ
ハトと少年
なんと客席通路を使ったマーチング・バンドから開始。
作中ではパズー奏でるトランペットの独奏であったが、こちらはマーチング・バンドらしい賑やかで楽しい楽曲になっている。
好きなメロディーだったのでオーケストラで聞けたのはとても嬉しい。
演奏者には子供もおり、立派にマーチング・バンドの一員を担っていた。
君をのせて
女声合唱団、ラ・メトリーズ・デ・オー・ドゥ・セーヌの美しいアカペラから始まる。そこに混声合唱のラムルー合唱団が加わっていき、奥深い音楽が展開された。
「君をのせて」はよく合唱本に載っていて日本でも人気の楽曲だが、これほど美しいハーモニーで奏でられるものは初めて聞いた。
この楽譜欲しい…。
これには観客もスタンディングオベーション。私も思わずテレビの前でやりそうになった。
紅の豚
久石譲さんのピアノ独奏で始まる。紅の豚の曲特有の何とも言えない郷愁のようなものが、繊細なピアノによって美しく表現されていた。
ピアノと入れ替わるように様々な楽器の重奏が奏でられ、再びピアノソロが加わる。まるでジャズ・バーにいるような素敵な構成になっていた。
紅の豚はこのピアノソロのみで、「さくらんぼの実る頃」が聞けなかったのが少し残念だ。
陽気な「ピッコロの女たち」など、他にも色々聞きたかった。
ハウルの動く城
こちらは1曲ずつ披露するという形ではなく、「シンフォニック・バリエーション"人生のメリーゴーランド+ケイヴ・オブ・マインド"」というメドレー形式の1つの曲として披露された。
序盤にストリングスによる人生のメリーゴーランドの旋律が流れ、そこに楽器が加わっていく。曲調は不穏なメロディに変わり激しくなっていく。
次に展開されるのは「大掃除」のメロディ。ソフィーがホウキで床を掃いている様が見えるような音がお気に入りの曲である。
「大掃除」の陽気なメロディから、ゆったりと穏やかなメロディに変わり、また曲は盛り上がっていく。「ソフィーの城」部分の盛り上がりはとてもテンションがあがった。
そして特筆すべきは、「星をのんだ少年」の部分。
トランペットのソロにオーボエのソロが追いかけて行く。とても美しく歌うような音色で、この部分だけ何度も聞きたくなるほどだ。
そして曲は人生のメリーゴーランドへ戻ってくる。
こちらは久石譲さんのピアノソロから始まる。情緒豊かに旋律を歌い上げる。
素晴らしい構成であった。
千と千尋の神隠し
あの夏へ
1曲まるまる久石譲さんのピアノソロ。繊細な音色に思わず息を飲んだ。
ふたたび
映画のクライマックス近く、ハクの名が明かされる場面で流れる曲である。感動的でとても好きな曲だ。
作中ではインスト曲だが、今回はメインメロディを麻衣さんが歌い上げた。歌詞があるのは知らなかったがこれまた良い。盛り上がりのあるやはり感動的な曲となっていた。
となりのトトロ
風のとおり道
静かに始まったこの曲、ハープの音色がとても美しい。
さんぽ
静かなオープニングから一転、元気なこの曲。有名すぎて知らない人はいないほど。
ポニョと同じく、フランス語で合唱が歌い上げた。
途中、ホルン、トランペット、トロンボーン、チューバと順番に立ち上がって弾いていくのが楽しげでとてもいい。その後も各楽器に見せ場があるような構成になっており、まるで散歩中に色んな仲間たちが加わっていくようだ。
となりのトトロ
ついに最後の曲。最後を飾るのはこれまた有名すぎる曲。
さんぽとは違い、こちらは緩やかに始まった。
コントラバスがはじめに奏でるサビ部分の音色が美しい。
少しずつ楽器が増え、盛り上がっていき、それがサビへ向かって最高潮に達したとき合唱がサビを歌い上げる。こちらは日本語。
盛り上がったサビがすぎると、また穏やかな曲調になり、久石譲さんのピアノが入る。
かと思えば急にまた盛り上がりサビが始まる。
緩急が激しくとても楽しい、クライマックスに相応しい曲であった。
最後に
10作品、どうだったでしょうか。
もっとさらっと短めに書くつもりだったのが、良いところが多すぎてこんなに長くなってしまった。
番組は1時間半に及ぶ長さであったが、まだまだ聞きたいとなるような素晴らしい音楽ばかりだった。
興味のある方は再放送やDVDの発売などの機会があれば是非見てほしい。これは保存版確定の必見必聴である。